見つめたところにピントを合わせる世界初視線入力、スポット測光、モーターによる自動開閉内蔵ストロボ、キヤノン独自のサイレント技術による連続巻上げ 最高5コマ/秒、シャッタースピード最高速1/8000秒、日付焼込み標準搭載。1992年の発売当時としては、画期的なフィルム一眼レフ Canon EOS 5について紹介します。
私は、写真撮影に長らくマニュアル機のニコンF2を使っていました。
ニコン党の一員になることへの憧れもあり、初めて買ったカメラは、ニコンでした。
その後、オート全盛、AF全盛となり、AF機能で先端を行っていたキヤノン機への乗り換えを決めました。
私は、Canon EOS 5を持って国内はもとよりヨーロッパ6カ国で撮影を行いました。
私の持っているフィルム一眼の中では、特に思い出深く、また、一番好きな一眼レフカメラです。
実写レビューの写真で使用したフィルムは、すべて富士フイルムのプロビアです。
富士フイルムのXシリーズカメラには、フィルムシミュレーション機能がありますが、本当のフィルムの発色はどんなものか、ぜひ、参考にしてみてください。
今でこそ、フィルム一眼レフは、影が薄い存在となっていますが、フィルムの発色とフィルム一眼レフ EOS 5の魅力をお届けできれば幸いです。
EOS 5は、キヤノン株式会社の製品です。
EOS 5の特徴
EOS 5の仕様(スペック)
カメラ形式 | 35mmレンズ交換式AF/AE一眼レフカメラ |
シャッター形式 | 縦走フォーカルプレーン式全速電子制御シャッター |
シャッター速度 | 30〜1/8000、B、 X接点 1/200 |
セルフタイマー | 電子制御式 約10秒 |
形式 | ペンタプリズム使用アイレベル式 |
視野率 | 上下92%、左右94% |
倍率 | 0.73倍(50mmレンズ・∞) |
測光方式 | 16分割SPC仕様のTTL開放測光 |
露出制御方式 | インテリジェントプログラムAE、シャッター優先AE、 絞り優先AE、深度優先AE、全自動モード、 A-TTLプログラムストロボAE、TTLプログラムストロボAE、PCターミナルストロボ用X、メータードマニュアル |
イメージセレクト | ポートレート、風景、クローズアップ、スポーツ、 |
露出補正 | 0.5段 ±2段 |
AF制御方式 | MT・TTL-SIR AFセンサーに増幅機一体型「マルチBASIS」使用 |
AF測距点切り替え | (1)視線入力による測距点切り替え(5人分登録可能)(2)手動切り替え(3)自動選択 |
AF測距輝度範囲 | EV0〜18(ISO100) |
レンズマウント | キヤノンEFマウント(完全電子制御方式) |
フィルム給送 | 自動巻き上げ(絞込み状態で秒間3コマ〜5コマ) 自動巻き戻し 約12秒 |
フィルム給送音 | 巻き上げ時:52dB 巻き戻し時:42dB 高速巻き戻し時:50dB |
内蔵ストロボ | オートリトラクタブルTTL自動調光ズームストロボ ガイドナンバー 13〜17(ISO100、m) 焦点距離28mmをカバー 充電時間 約2秒 |
電源 | 2CR5 x 1 |
サイズ (mm) | W154.0 x H 120.5 x D 74.2 |
重量 | 715g(電池込み) |
発売 | 1992年11月(2001年生産終了) |
メーカー | キヤノン株式会社 |
EOS 5の外観
EOS 5 フィルムの入れ方
フィルム装填は、非常に簡単です。
フィルムのリーダー部(フィルムの先端のこと)をオレンジの線まで伸ばして、そのまま蓋を締めるだけです。
自動的に巻き上げが始まり、フィルムカウンターが1コマになったところで止まります。
撮影終了後は、フィルムは、自動で巻き戻されます。
カスタムファンクション 2をオンにするとでフィルムのリーダ部(フィルム先端の細くなっている部分)を残して巻き戻しを止めることができます。
見つめるだけでピントが合う視線入力 世界初!
視線入力のしくみ
EOS 5には、5つのAFフレームと1つの被写界深度確認マークがあります。
これらAFフレームと被写界深度確認マークを見つめるだけで、ピントが合ったり、被写界深度を確認することができる機能があります。
これを視線入力といいます。
撮影者の瞳孔の中心位置と反射光の位置を視線検出CCDで読み取り、どのAFフレームを見ているか算出します。
この視線入力機能により、撮影者は、手動でAFフレームを選択するという面倒な操作から解放され、撮影に集中できるようになります。
視線入力の使い方
視線入力を使うためには、個々人の眼の動きや状態を登録する必要があります。
これをキャリブレーションといいます。
キャリブレーションは、カメラを横位置で構えて行います。
モードダイヤルをCALにセットします
メインダイヤルを回して CAL-1〜CAL-5の好きな番号を選択します
点滅するAFフレームを見つめてシャッターボタンを押します
これを右から左のAFフレームについて行います
登録が完了したら、モードダイヤルをクリエイティブゾーン(プログラム、シャッター優先、絞り優先、M、DEP)にセットします。
②のAFフレーム選択ボタンを押します
表示パネルのキャリブレーション番号が点滅し、消去されたことを表します
メインダイヤルを回してすべてのAFフレームが点灯するようにします
モードダイヤルをCALにセットします
メインダイヤルを回してCAL-1〜5の中から自分が登録した番号を選択します
モードダイヤルから好きなモードを選択し、撮影を行います。
撮影時は、AFフレームを見つめるだけで、AFフレームが赤く点灯します。
キャリブレーションデータの登録削除
キャリブレーションは、カメラを横位置で構えて行います。
モードダイヤルをCALにセットします
メインダイヤルを回して CAL-1〜CAL-5の中から削除したいキャリブレーションデータを選択します
①と②のボタンを同時に押します
表示パネルのキャリブレーション番号が点滅し、消去されたことを表します
リトラクタブル内蔵ストロボ
ストロボボタンを押すと内蔵ストロボが、ポップアップします
内蔵ストロボは、モードダイヤルをLにするか、ある程度時間が経つと自動的に閉ります。
スプリングで上がり、手で押し下げる方式ではありません。
モーターによる自動開閉です。
このような自動開閉式の内蔵ストロボを持つカメラは、私が知る限りEOS 5だけです。
この機能だけでもちょっとした自慢になりますね。
電池交換
グリップカバーを外すと電池交換ができます。
電池は、2CR5 1個です。
縦位置グリップ VG-10
EOS 5には、縦位置で安定したホールドが可能になるよう縦位置専用グリップが用意されています。
縦位置で持った時に押しやすいようにAEロックボタン、AFフレーム選択ボタン、シャッターボタンが付いています。
補助バッテリー機能は、ありません。
EOS 5実写レビュー(フランス編)
使用機材
- キヤノン EOS 5
- EF 28mm-80mm F3.5-5.6 II USM
- EF 80mm-200mm F4.5-5.6 USM
- 富士フイルム プロビア(RDP )
オンフルール
写真は、クリックすると拡大表示できます。
オンフルールは、ノルマンディー地方の歴史ある港町です。
人口は、8,000人ほどです。
15世紀の百年戦争の時には、戦略的拠点となっていました。
オンフルールを初めて見た時、なんて美しい港町だろうと感動しつつ、シャッターを切りました。
また、行ってみたい観光地の1つです。
コンコルド広場
写真は、クリックすると拡大表示できます。
コンコルド広場は、世界遺産「パリのセーヌ河岸」に含まれています。
コンコルド広場は、パリ中心部に近く、フランス革命の際には、ルイ16世やマリーアントワネットが処刑された場所でもあります。
このような歴史に思いを馳せながら、コンコルド広場でシャッターを切ったのを覚えています。
シュノンソー城
写真は、クリックすると拡大表示できます。
シュノンソー城は、ロワール渓谷にあるお城で、世界遺産「シュリー=シュル=ロワールとシャロンヌ間のロワール渓谷」に含まれます。
シュノンソー城は、16世紀に宮廷の財務長官トマ・ボイエとカトリーヌ・プリンソネ夫人が、マルク家の城塞と水車を取り壊して建築されたといわれています。
フランスの古城巡りツアーなどでは、定番の観光コースになっています。
トゥール市内
写真は、クリックすると拡大表示できます。
トゥールは、フランス中部に位置する都市で、アンドル・エ・ロワール県の県庁所在地です。
トゥール市内には、中世の街並みが数多く残っています。
エッフェル塔
写真は、クリックすると拡大表示できます。
エッフェル塔は、世界遺産「パリのセーヌ河岸」に含まれています。
エッフェル塔は、1889年のパリ万国博覧会の際に建設され、パリの象徴的な建造物として有名です。
エッフェル塔の展望台は、第1展望台から第3展望台まであります。
地上276mにある第3展望台で撮影しましたが、この展望台は外に出ることができる展望台で、
とても狭く、強風だったので恐怖感があったのを覚えています。
撮影は、三脚を立てて行いましたが、他の観光客の迷惑にならないよう気を使って行いました。
エッフェル塔の展望台から撮影したパリの夜景です
中央上部にあるのは、パリの凱旋門です。
エッフェル塔の展望台から撮影したセーヌ川の夜景です。
ベルサイユ宮殿宮廷
写真は、クリックすると拡大表示できます。
ベルサイユ宮殿の庭園は、世界遺産「ヴェルサイユの宮殿と庭園」に含まれています。
ベルサイユ宮殿は、1682年にフランス国王ルイ14世が建設した宮殿です。
ベルサイユ城ともいわれます。
ベルサイユ宮殿の観光客ととても多く、宮殿内に入るには、順番待ちがありました。
庭園は、とても広く、とても優雅な時間を過ごすことができました。
モンサンミッシェル
写真は、クリックすると拡大表示できます。
モンサンミッシェルは、世界遺産「モンサンミッシェルとその湾」、「フランスのサンティアゴ・デ・コンポステーラの巡礼路」に含まれています。
モンサンミッシェルは、海上のピラミッドとも呼ばれる16世紀に完成した巡礼地です。
モンサンミッシェルは、満潮時は海に浮かぶ小島となり、干潮時に自然に現れる陸橋で陸とつながるという巡礼地です。
引き潮によって猛烈な勢いで海水が押し寄せて、多くの巡礼者が潮にのまれて亡くなったといわれています。
1877年に人工的な道路が建設され、常時、陸続きとなりました。
モンサンミッシェルに行った時は、すぐ近くのホテルに泊まり、朝、夕方、夜に撮影することができました。
モンマルトルの丘 サクレ・クール寺院
写真は、クリックすると拡大表示できます。
サクレクール寺院は、パリで最も高い丘 モンマルトルの丘にそびえ立つ寺院です。
サクレ・クール寺院は、19世紀に普仏戦争とパリコミューンの犠牲者への祈りを捧げるために建設が始まりましたが、完成したのは、1914年でした。
撮影した時は、天気も良く、空がコバルトブルーでしたが、富士フイルムのプロビアがその色を再現してくれています。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
実写レビューの写真は、すべて富士フイルムのプロビアを使用しています。
EOS 5は、スポット測光が使えますので、スポット測光で被写体の何箇所かを測光し、その値から露出を決めていました。
私は、フィルムカメラの露出の難しさも、フィルムカメラの醍醐味だと思っています。
リバーサルフィルムで撮影する場合、露出の正確さが要求されますので、スポット測光が使えるEOS 5は、本当に頼れる愛機です。
余談ですが、オリンパスのOM-4は、マルチスポット測光機能があり、もっと簡単に露出を決めることができます。
最後までお読みいただきありがとうございました。
キヤノン EFレンズを富士フイルムのXシリーズで使うためのスピードブースターのレビュー記事も書いています。
コメント